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2013年6月22日  スタッフ研修 アナフィラキシーショック

「休み時間の免疫学、第2版 齋藤紀先 講談社」と「重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー 平成20年3月厚生労働省」より

 アナフィラキシー反応とは、医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後の場合、5~30分以内に起こる死に至りうる全身の過敏反応であり、特徴的症状として、急速に悪化する気道または呼吸または循環の異常があり、通常は皮膚と粘膜変化を伴うものとされている。じん麻疹などの皮膚症状、下痢などの消化器症状、呼吸困難などの呼吸器症状が同時または引き続いて複数臓器に現れることをいう。さらに、血圧低下が急激に起こり意識障害等を呈することをアナフィラキシー・ショックと呼び、生命の維持上危険な状態である。これは、急激な全身の血管拡張・血管透過性亢進、平滑筋収縮作用(気管支または腸管の平滑筋収縮)により起こります。

自覚的症状としては掻痒感、じんま疹、全身の紅潮等の皮膚症状が、はじめにみられることが多い。皮膚症状に続き、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状がしばしばみられる。視覚障害や視野の異常がみられることがある。呼吸器症状として鼻閉塞、くしゃみ、嗄声、咽喉等の掻痒感、胸部の絞やく感、などは比較的早期からみられることがある。進展すると咳そう、呼吸困難、喘鳴、などがみられる。やがて動悸、頻脈、などの循環器症状や、不安、恐怖感、意識の混濁などの神経関連症状がみられる。

(治療手順はこんな「クリニックです」に記載しました)

 鎌倉時代における僧侶のアナフィラキシー反応「興福寺奏上」

1205年に南都興福寺から念仏の禁断を訴えた「興福寺奏上」が朝廷の院(後鳥羽院)に出されている。これは浄土宗の法然上人をはじめとする専修念仏者の処分を要求した書状である。これには以下のような時代背景があった。

庶民にとって神仏は「恐るべき」存在であった。服従しなければ祟りを受け、罰があてられた。それを恐れた人々は荘園領主である寺社に年貢を上納し、ときに苛酷な夫役、労働力の提供、を勤めた。真言・天台の仏教にとって、自らの存在理由は王権の守護にあった。もろもろの宗教において頻りに言及される「民衆の救済」は、目的になり得なかった。仏教界の主導層を形成する上級の僧侶は貴族の出身であり、寺院という組織はその特性を大切に保全した。それゆえに彼らは、例は古いが「にげなき(似つかわしくない)もの。下衆の家に雪の降りたる」(『枕草子』四十五段)とする美意識を共有していた。彼らが庶民を救いの対象とすることは、あり得ないことであった。こうした「恐ろしく」また「畏るべき」仏教に対し、鎌倉時代になると「易しい」また「優しい」仏教が台頭してくる。その教えは、たくさんの教理(兼学)ではなく、一つ(専修)を。自分の力(自力)ではなく、大きな他者への帰依(他力)を。困難な修行(苦行)ではなく、易しい修行(易行)を。そう人々にすすめる。嚆矢となったのは浄土宗を開いた法然で、彼は次のように言う。

仏像を作成(原文のまま)したり堂塔を建立することが極楽往生の要件とするなら、貧乏な者は望みを絶つだろう。学力優秀であること・身を厳格に律することを要件とするなら、愚鈍な者、学ぶ機会のない者、誡めをもたぬ者は望みを断つだろう。しかるに、富裕な者・智慧のある者・博識な者・戒をもつ者は少なく、貧しい者・愚かな者・学のない者・戒のない者は甚だ多いのだ。(『選択本願念仏集』)(武士とはなにか 中世の王権を読み解く 本郷和人 角川文庫より)

法然上人の卓越した洞察力と勇気は素晴らしいと思います。

2013年2月17日    腰痛診療ガイドライン

新しい腰痛診療ガイドラインが発表されています。(日経メディカル2012年12月号特別編集板、白戸 修先生の論文より)

その中で、外来診療において重要と思われるものの一部を挙げます。

腰痛診断において有用な画像検査はなにか・腰痛患者に対して画像検査を全例に行なう事は必ずしも必要でない。・危険信号(診療案内のよくある疾患を参照してください)が認められる腰痛、神経症状を伴う腰痛、または保存療法にもかかわらず腰痛が軽快しない場合には、画像診断を推奨する。・神経症状がある持続性の腰痛に対しては、MRIでの評価が推奨される。

腰痛に薬物療法は有効か・腰痛に対して薬物療法は有用である。・第一選択薬は急性、慢性腰痛ともに非ステロイド性抗炎症薬、アセトアミノフェンを推奨する。

腰痛に物理・装具療法は有効か・温熱療法は、急性および亜急性腰痛に対して短期的には有用である。・腰椎コルセットは腰痛に対する機能改善に有効である。

腰痛に運動療法は有効か・急性腰痛(4週未満)には効果がない。・慢性腰痛(3カ月以上)に対する有効性には高いエビデンスがある。・運動の種類によって効果の差は認められない。

腰痛は予防可能か・運動療法は腰痛の予防に有効である。

 2013年2月16日  スタッフ研修  外来診療における正しい抗菌薬の使用

                                                   主に「日本医師会雑誌第141巻第5号」より引用

行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と住家と、またかくの如し。(方丈記) 

鴨 長明は住家にこだわった。医療においては抗菌薬にこだわる必要がある。抗菌薬の不適切使用の影響が大きいからである。すべての抗微生物薬に共通の致命的な欠点として、抗微生物薬は使えば使うほど耐性微生物が増えるということがある。耐性菌は別の人に伝播する為、安易な抗菌薬処方は厳に慎むべきで、抗菌薬が不要な場合にそれを処方するのはぜひとも避けたい。例えば、急性咽頭炎の原因微生物はウイルス性が約50%を占め、次いでA群β溶血性連鎖球菌を主とする連鎖球菌が約15%、その他の細菌が5%以下とされる。ウイルス性咽頭炎では抗菌薬は不要である。細菌性である場合でも抗菌薬が必要となる起因菌は一般外来レベルではA群β溶血性連鎖球菌のみである。それ以外は、細菌性であっても抗菌薬の有用性がはっきりとは示されていない。

鴨 長明は方丈記の最後のところで、「佛の人を教へ給ふおもむきは、事にふれて執心なかれとなり」と述べ、執着心を捨てたいと願っています。こだわりなく使用できる夢の抗菌薬の開発を願います。

2012年12月1日  スタッフ研修 クリニックでの心肺蘇生

あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年を暮すほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年を過すとも、一夜の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世にみにくき姿を持ち得て、何かはせん。命長ければ辱多し。長くとも、四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ(徒然草7段)

吉田兼好の述べるように「世は定めなき」ものであり、人間の心臓はいつ止まらないとも限らない。しかし、クリニックで心停止が起こった際には、兼好のように「いみじけれ」などと考えている余裕はない。ただちに心肺蘇生を行なわなければならない。少人数で運営している診療所では、スタッフ全員で蘇生にあたる必要があり、その手順について研修しました。(「手順はこんなクリニックです」に記載しました)

 2012年11月23日

小児インフルエンザワクチン1回接種量増量の発病予防・重症化防止効果

2011年から小児インフルエンザワクチン接種量が変更になり、13歳未満のワクチン接種量が増量されました。これにより「理論上1回摂取量増量により高い抗体価が誘導されるので、以前の摂取量よりも高い発病予防・重症化予防効果が期待される」ようです。(日本医事新報№4621国立病院機構三重病院・院長庵原俊昭 先生の論文より)

2012年9月17日    腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン

  腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011が発表されています。そのポイントの一部を日本医事新報 №4609高橋和久先生の論文から抜粋します。診断基準は診療案内のよくある疾患を参照してください。

病態・自然経過-腰部脊柱管狭窄症の軽度または中等度の患者のうち、1/3ないし1/2では自然経過でも良好な予後が期待できる。

診断(腰部脊柱管狭窄症を診断するために有用な画像検査は何か)-MRIは、腰部脊柱管狭窄症の画像診断に適した非侵襲的な検査である。

治療(腰部脊柱管狭窄症における薬物治療の意義は何か)-経口プロスタグランジンE(1)は神経性跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を有する腰部脊柱管狭窄症の治療に短期間は有効である。

2012年9月8日スタッフ研修    感染症の基礎知識

 主に「休み時間の免疫学、第2版 齋藤紀先 講談社」、「月刊ナーシング」2011年7月号より引用

 細菌とウイルスの違い-どこで増殖するのか?

細菌は自分の周囲のエサを食べ、自分のDNAを複製・増殖させる。細菌は人間の細胞外で悪さ(増殖)する。

ウイルスは中にDNA(またはRNA)が1、2本入ったカプセルで、細菌のように自らエサを食べて自分のDNAを増殖させる機能は持っていない。この為に人間の細胞内に入り込み、その細胞が持っている増殖機構を借りて、自分のDNAを増殖させる。ウイルスは人間の細胞内で悪さ(増殖)する。

細菌やウイルスに対する人間の側の反応は以下のようです。

細菌に対しては、リンパ球(形質細胞)により産生された抗体(IgG)が細菌にくっつくことにより白血球(好中球)が細菌を破壊する。

ウイルスに対しては、リンパ球がウイルスに侵入された人間の細胞を破壊する。

また感染防御に重要な役割を果たしている皮膚には数種類の抗菌物質があり、その中で重要なものはカテリシジン、β-ディフェンシン、ダームシジン(DCD)の3種類で、これらにより細菌から守られている。

 2012年8月7日  

2型糖尿病では骨折リスクが上昇する(メディカル朝日、2012年4月号、山口 徹先生、杉本利嗣先生の論文より)

2型糖尿病(わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプとされる)患者における大腿骨近位部骨折リスクは同年齢対照群の1.4倍である。これは骨質の劣化に起因すると考えられる。骨質を規定する因子として、骨の構造特性(3次元的な骨構造・構築)と材質特性(狭義の骨質)が知られている。糖尿病では高血糖により骨組織中に終末糖化産物が増加し、骨の材質が悪化することにより骨折しやすくなるようです。治療としてはラロキシフェン等が有効とされています。

2012年6月9日スタッフ研修    針刺し事故

主に「感染対策 実践マニュアル第2版 堀 賢 編集 ㈱じほう」より引用

医療施設で業務に従事しているすべての職員は、少なくともある一定の確率で患者の血液および体液による感染症のリスクを負っている。特にB型肝炎、あるいはC型肝炎ウイルスやHIVには注意を要する。

もっとも一般的な針刺し事故の原因は、針類のリキャップ、規定の針廃棄容器以外への廃棄、先端が露出したままでの運搬、針廃棄専用容器への過剰廃棄(あふれたままで使用を続けること)、安全装置を作動させずに使用する事である。

事故防止対策としては、針類のリキャップ禁止、先端が露出したままの運搬禁止、針廃棄物専用容器は容積の3/4を超えて使用してはならない、大中無鈎鑷子とハサミや有鈎鑷子等は別の容器で洗浄、採血時の手袋着用(手の傷からの血液侵入防止、針刺し事故発生時の血液量減少)、処置内容によりフェイスマスク、ビニールエプロンを着用する等である。

 2012年5月1日                                                                                                                腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改定第2版(2011年7月刊行)                                                         (ASAHI medical 第4号 2012年 宮本 雅史 先生の論文から引用)                   

プライマリケア医が知っておくべき重要事項で、エビデンスレベルの高いものを以下に記します。

 ・MRIは腰椎椎間板ヘルニアの診断に最も優れた方法である。しかし無症候性のヘルニアが存在するので、その解釈には注意を要する。

  ・椎間板ヘルニアには自然退縮するものがある。ヘルニアのサイズが大きいものや、遊離脱出したもの、MRIでリング状に造影されるものは高率に自然退縮する。   

 ・保存療法と手術療法を比較すると、臨床症状に関しては手術療法のほうが長期的にも良好な成績を示すが10年後にはその差は減少する。      

  ・腰椎椎間板ヘルニアに伴う重度の馬尾症候群では、早期手術が望ましい。

201243
 骨粗鬆症の予防と治療のガイドラインが改定されました(2011年12月)

骨粗鬆症の基礎・臨床研究の進歩にともない、ガイドラインが新しくなり、原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準の目安が示されました(診療案内のよくある疾患をご参照ください)。そして、骨折抑制効果のある新薬としてエルデカルシトール(ビタミンD)、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)等が推奨されています。当クリニックでは、これらの薬を積極的に使用して行きたいと考えています。

 2012310日 スタッフ研修

高齢者の終末期医療について
団塊世代の高齢化が進み、多死時代を迎え、終末期の患者に対する医療が問題になっています。
医師の後藤文夫先生(超高齢者医療の現場から、中公新書)によると、日本の「終末期医療」は発展途上国レベルであり、各国の医療制度と終末期医療の現状を基準にした40ヶ国の「死の質ランキング」によると、世界でもっとも「豊かな死」を迎えられると評価されたのは英国で、二位はオーストラリア、三位はニュージーランドで、日本は医療費の高さや医療と介護に従事する人員の不足などのせいで、23位と低い評価でした。第二次世界大戦後、日本では国民皆保険制度が導入され、経済レベルの向上もあいまって病院において死を迎える比率が急速に高まってきました。しかし、そのなかで、治癒困難と診断されているがん患者に対してまで化学療法が積極的に行われたり、終末期の患者に人工呼吸や心臓マッサージなどの延命処置が行なわれることもあるなど、病院の終末期医療に疑問がなげられています。超高齢者の医療と介護においては、高度の意識障害、重度の認知症、老衰にともなう嚥下障害を抱える患者に胃ロウの手術を行なって流動食を注入する等の処置は、豊かな死を望む観点から極力控えるべきとする意見も増えています。
 宗教評論家ひろさちや氏は人の死について以下のように述べています。
宗教があれば、「どんな死に方をしてもかまわない」と思うこと%